痛みを慢性化させないために

痛みを慢性化させないために

慢性痛とは

痛みが続く場合は、原因となった外傷や疾患が治っても、トリガーポイント(痛みを生む場所)が筋肉や関節周囲にできていることが多くあります。

痛みだけを理由として、早期に手術を選択する必要はありません。
手術はわざと大けがをすることともいえ、それが原因で新たな痛みを生む可能性もあるからです。

痛みが3ヵ月以上続くと慢性化します。
脳に痛みが記憶され、とれにくくなります。わずかな刺激が強い痛みとして感じられます。

痛みが続くと気分が落ち込みます。
寝付きが悪くなったり、途中で目が覚めたり、早く目が覚めるといった睡眠の障害が起こります。

痛みを恐れて動かないと、体力が落ちます。体が硬くなり、ますます痛くなります。
動かないと脳への刺激が不足して、脳の元気もなくなります。

脳の中で、痛みの考えだけが増えて、脳の働きが落ちます。
脳の中で、自律神経の働きが悪くなり、めまい、たちくらみ、動悸、気分が悪い、冷え、発汗など様々な症状が起きます。

不安、失業、家族の死、離婚、家族問題、交通事故などの不快、ストレス、怒りは、痛みを強めます。
そのことを単なる事実として受け止めて、あまり心配せず、気にしないことです。

慢性痛の原因

よくある、年だから痛い、という説明は誤りです。
年齢と共に、壊れやすく、不具合のある部分が増えることは事実ですが、必ず、痛みの原因部位があり、ほとんどは、自分の使い方、習慣によるからです。
また、原因がわかれば痛みを減らす治療は可能です。

全身の痛みを感じる方は、頚から始まるタイプと腰から始まるタイプが多いようです。
背骨の使い方、姿勢が重要といえます。

慢性痛の治療

慢性の痛みには、薬だけでなく、いろいろな治療が必要です。

身体と脳の両者の治療が必要になります。

痛みの原因動作を探る必要があります。
体の使い方と呼吸については、アレクサンダー・テクニークが勧められます。
消炎剤だけでなく、漢方、抗うつ薬、抗てんかん薬なども用います。
脳の痛みを抑える力を増やす薬を使います。睡眠の改善も重要です。
トリガーポイント注射、ストレッチも重要です。

トリガーポイントは、触らない医師にはきちんと診断、治療ができません。

慢性痛の治療 自分でできること

自分にできる注意としては、痛みに過度に集中しないことです。

痛くても、体の使い方に注意しながら、できることはしようと考え、行動しましょう。
良い姿勢をすることへ意識を向け、姿勢に意識を集中しましょう。
全身運動としての、気持ちの良い散歩を10-15分から始めてください。体力の回復、脳への刺激で脳の回復に役立ちます。
積極的に笑う、楽しいと思うことです。趣味、スポーツ、ペットの飼育、旅行も効果的です。
周囲をよく観察すること。自分を客観的に見ましょう。
痛みと、イベント、思ったことを書いていく痛み日記も治療に役立ちます。

慢性痛とACT

2019.10.2 NHKのガッテンで、慢性痛のACT acceptance and commitment therapy が紹介されました。

クリップボードやカードを使い、痛みへの対応を理解してもらう。

痛みは横へ置いておく。楽しいことをする。

痛みだけでなく、周りを見る。

その他、日記、瞑想も紹介されました。

痛みセンターや心療内科の紹介もありましたが、当院ではずっと以前からすでに、事実上、ACTが実践されています。

根気よく、医師と共同して

残念なことは、せっかく診断し、治療を始めるのですが、その後も継続して通院していただける方が少ないのが実情です。

患者さんの側でも、腰を落ち着けて、治療に向き合っていただきたいと思います。

治療は医師との共同作業です。

数年で、痛みが消えて卒業された方もありました。

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